ホーム » 荒井分支部長ブログ » 2017/12/11今週の名言

SWITCHインタビュー 達人達  「野村忠宏×寺島しのぶ」より

 

寺島:スポーツ選手って必ず終わりが来る訳じゃないですか、引退っていう。ここ最近色んな選手が引退されたり、(引退)会見されたりしたりして。どうなんですか?人によって全然違うと思うんですけど、潮時っていうか引き際を見極めるっていうのは、そこは何だったんですか?

野村:29歳で3連覇して、最高のやめ時だったんですよ。チャンピオンでやめる、3連覇、誰も達成していない記録を作ってやめるっていうのは最高のやめ時だったけど、続けるっていう決断をして色んな苦しみを味わったけど、それ以上に素晴らしい経験をできた。

ナレーション:野村はオリンピック3連覇の後も現役を続けた。北京、ロンドン、代表選考に漏れたがなお現役に拘った。肉体の衰えや怪我と戦いながら40歳まで自分の柔道を追い求める。
そして2015年8月、野村はこれで最後にすると宣言して大会に臨んだ。勝っても負けてもこれが最後。一回戦、二回戦、いずれも一本勝ちで勝ち進む。3回戦の相手は17歳年下の若手選手。開始わずか26秒(で投げられ、一本負け)。長い選手生活にピリオドを打った。

寺島:いやー泣けて来ちゃったなんかもう。最後の(野村選手が一本負けで倒れた状態で)ぱーっとちょっと空を眺める瞬間ていうのに。何か詰まっていて。

野村:審判から早く立ちなさいって言われた。(笑)

野村:引退試合の時も怖かったんですよ正直。いやもう何かね、これで俺の試合っていうかね、現役としての戦いが終わったんだっていう。もちろん負けたから悔しさっていうのはあったし、負けた瞬間、投げられた瞬間に何故投げられたかって考えるんですよ。けど何か今までみたいな、本当に腹から湧き出るような悔しさとかは無かったですね。もうこれでお終いなんだっていう気持ちだったですね。あれが限界だったし、やっぱり弱くなったと思いました。負けた後、一応観客席に挨拶を言いに行ったんですよ。その時の笑顔の人もいるし、もう泣いてる人もいるし、色んな表情とか反応を見た時に、負けたけどここまでやって来て良かった。オリンピックで勝つ爆発的な感動とは違うけど、本当に心の底から柔道と出会えて良かった。ここに来てくれている人たちに出会えて良かった。そしてここまで続けて来て良かった。本当に心の底から思いましたね。アテネでやめるのは最高のタイミング。けども自分は柔道への想いっていうのが強く残っていたから、これから多分もっと弱くなっていくんだろうな、怪我もするんだろうな。けど、真剣に柔道をやっていったらまた新しい自分が見えるんじゃないか、新しい自分を作れるんじゃないか、それが見えるかどうかは続けないとわからない。だからもうボロボロになろうと不細工な姿を晒そうととことんやっていこうというのでやって来たのが今の(引退)試合ですね。本当、ボロボロだったです、最後は。

 

#今週の狛江少年組手クラス(荒井指導)はミット打込みを行い、サポーターは使用しません。

来週はサポーターを使用する予定です。