ホーム » 荒井分支部長ブログ » 2018/8/20今週の名言

ナレーション:遊び半分で始めた体操にのめり込むようになったのは小学1年生の時。強烈な体験があった。

内村: (鉄棒の)蹴上がりが初めてできた時の喜びが、人生最高なんです。

今のところ。忘れられなくて。

同い年の子たちも何人かいたんですけど、その中でも覚えが一番遅くて。

それができた時は、家の体育館を走り回って、親とかクラブに来ている選手たちに、できたんだけど、どう?みたいな感じで言って回っていたのを今でも覚えています。

ナレーション:できないことができるようになる。内村さんはその喜びに突き動かされ、体操に熱中していった。いつかオリンピックに出たい。親に頼み込み、高校進学と同時に上京し名門クラブに入った。才能は一気に開花した。屈伸コバチ。さらに当時、世界でも屈指の難しさだったコールマン。どんなに高度な技でも次々習得していった。だが内村さんにはある欠点があった。いざ試合となると力を発揮しきれない。さほど難度の高くない技でミスをすることが多かった。大事な場面で落下し、入賞を逃すこともあった。転機が訪れたのは、18歳の時。大学生になった内村さんは日本代表との合同稽古に初めて参加。ある選手の練習に目を奪われた。冨田洋之選手。28年ぶりに日本に団体金メダルをもたらした立役者。

内村: すごい泥臭くやるんですよ。

失敗したところは何回もやるし。

最終的に練習で格好良くなるんですけと、やっぱりそこまでの道はすごく格好悪くて泥臭い道を積み上げているなというのを感じてから「やるしかないよな」みたいな。

自分が格好悪いと思っている練習でも、進んでできる選手でないとそこまで行きつけないなっていうのをすごく感じました。

ナレーション:内村さんは自分のこれまでの練習を省みた。倒立や前転。面白みのない基礎練習を誰よりも丁寧に行うようにした。力を入れたのは、最もキツイとされる6種目の通し練習。試合を想定し、疲労感が高まった中で6種目の技をやりきる。失敗したらもう一度、成功するまで何度でも挑んだ。すると試合の時、これまでと違った感覚が沸き上がって来た。

内村: いい意味で開き直るっていうか。

やっぱりどこかで不安を抱えていると、悪い開き直りになっちゃうと思うんですよね。

どうにでもなれみたいな。投げやりっていうか。そういう意味じゃないですよね。

開き直っていいのを出すっていう。

積み上げたものがないと開き直りもできないと思うので。

それだけ積み上げて来ていますよっていう。

ナレーション:一年後、その積み重ねは結果となって現れた。北京オリンピックの選考会で日本代表選手を押さえて準優勝。若きホープとして日の丸を背負ってオリンピックに出場した。個人総合で銀メダルを獲得。その名を世界に知らしめた。その直後から9年1度も負けることなく、オリンピックも連覇した。

プロフェッショナル仕事の流儀 内村航平