ナレーション:12年前のワールドカップ。アメリカとの決勝。終了間際、澤の同点ゴール。ペナルティーキック戦にもつれ込んだ。日本の4人目。決めれば優勝の場面で熊谷。
熊谷:なんか、浮足立つじゃないけど、固かったのかな。マジで緊張してました。ちょっと何で自分なんだろうって思ってて。
ナレーション:極度の緊張の中にいた二十歳の熊谷。先輩たちから声をかけられた。
熊谷:宮間さんと永里さんが「ワールドカップの決勝でPKを蹴れることなんて、この先一生ないよ。これはもう、たのしまなきゃ損だよね」みたいなことを言ってくれて。二十歳の熊谷は本当にそうだよなって。グサッときて。ウヮ楽しもう!みたいな。その気持ちで行けたからこそたぶん思いっきり蹴れたのかなっていうのがあったので。
ナレーション:重圧から解き放たれた熊谷。ボールはネットに突き刺さった。この時の経験は熊谷が目指すキャプテン像に大きな影響を与えた。