「感じる」②

田口支部長に教えていただいた「観る工夫」でたいへん印象に残っているものがあります。

それは空手大会ビデオなどの「観流し法」です。

どんな方法かといえば例えば仕事や学校に行く準備をしているときに空手のビデオを流しておいて「漠然と観る」という方法です。

普通はビデオを観て研究するときは常に画面に喰らいつくように熱心に観なくちゃいけないんじゃないかと思いますよね。

もちろん熱心に観る方法も良い方法であることは当たり前なのですが、「漠然と観る」という方法も実は理にかなっていることがわかります。なぜか?

ビデオを流し続けるという行為は情報のシャワーです。

多量の情報シャワーの中から「あれ?今の技は?今の動きは?」と無意識のセンサーが時より可動します。

そして考えます。「ひょっとしてこの上段蹴りは工夫次第で自分に使えるかも?」

「よし、今日から毎日この上段の稽古しよう!」

1週間後スパーリングで「あの上段をあてることができた!」

「試合でもいけるぞ!このまま質を高めていこう!」

「感じる」①

同じものを読んでも(同じ情報が入っても)感じ方は人によってによって、また同じ人でも経験の積み重ねによってかなり違ってきます。

そして感じる能力は極めて、というか決定的に重要です。

火曜の帯研などでも長嶺会長から「感性」「感じること」が大事だとよく指導していただいています。

また、ブルースリー映画の中の名言で「Don’t think!! Feel!(考えるな、感じるんだ)」は有名ですね。

ニュートンはリンゴが落ちるのを見て「なんで?」と考え始め万有引力の法則に辿り着いたという伝説があります。

普通の人は何にも感じないからリンゴが落ちたという情報が右から左に通り過ぎるだけなんですけど、ニュートンの感じる能力はそれに反応したわけですね。

1.感じる(あれ?なに?なんで?→無意識で分析した結果「この情報は重要ですよ」と意識に上る)

2.熟考(なぜそうなのかじっくり考える→意識と無意識の共同作業)

3.結論(理論の発見や行動の決定 など)

ニュートンは天才ですので特に感じる能力(センサー)が飛び抜けていてほんの些細なことに反応して法則の発見に至っていますが、空手の上達だって同様のプロセスがあるわけです。

「下突き鍛錬法」

ほとんどの道場生の皆さんは2010/9月号のワールド空手をもう読まれたかと思います。

自分にとって木立裕之さんの組手講座での下突き鍛錬法は非常に感じるところがあり勉強になりました。

自分は1999年の全日本ウェイト制大会で木立さんに敗れた試合を最後に選手を引退したのですが、木立さんの下突きは見た目以上に深く重く内側から刺さってくるのがとても印象的でした。

今回の講座を読んで「なるほどこういう鍛錬か!」と納得しました。

自分自身も下突きの鍛錬ではミットやサンドバッグを打ち込んだ時の「打ち抜き」が重要で打ち込みではとても意識して行っていました。

しかし、木立さんの鍛錬法ではミットやサンドバッグを使用しないで打ち抜く感覚を掴む鍛錬法が紹介されていました。

非常に理にかなっていると感じ、指導に取り入れることにしました。